Amazon Connectの通話録音機能について
・通話録音データの検索条件の「初期化メソッド」の「ThirdParty」の説明ですが、当ブログ記事の公開時は確認中としておりますが、確認取れましたので追記致しました。
・通話録音データの検索結果の補足説明として「コール(呼)を転送した場合、コンタクトIDはどうなるか?ユニバーサルなコンタクトIDは取得可能か?」を追記しました。
事業開発部の酒匂です。今回は、Amazon Connectの通話録音機能について書いていきたいと思います。
通話録音機能とは
文字通り、Amazon Connect上での通話内容を録音するものです。
オンプレでテレフォニーシステムを導入して通話内容を録音するとなると、PBXと録音機を繋いで、録音データを検索するためのデータを取得するためにCTIとも接続して・・・といったことをしないといけないですが、Amazon Connectの場合は、そのへんのことが標準機能でできております。
通話録音を行うには
コンタクトフローに通話記録動作の設定(Set call recording behavior)ブロックを設定します。
ブロックの設定値を下記から選択します。
「エージェント AND 顧客」を選択すると、顧客(=発信者側)とエージェント(=着信者側)の音声がステレオ録音されるようになります。 録音データはwav形式で保存されます。
通話録音データの保存場所
コールセンターインスタンス設定の下記で設定した場所(S3バケット)に保存されます。
このように日付ごとにフォルダが作成され、録音データファイルが保存されます。
通話録音データを検索して、聴く方法
検索画面と検索条件
Amazon Connectのメニューから「メトリクスおよび品質」 > 「問い合わせの検索」を選択します。
このような検索画面が表示されます。
検索条件は以下のようになっております。
検索項目 | 説明 |
---|---|
開始日 | コール(呼)の開始日 |
終了日 | コール(呼)の終了日(開始日と終了日の指定期間は最大14日間まで) |
タイムゾーン | コール(呼)の開始日、終了日はUTCで保存されているため、タイムゾーンを指定して検索することができます。検索結果に表示される開始日、終了日も指定したタイムゾーンが反映されます。デフォルトはUTCです。 |
初期化メソッド | コール(呼)の生成種別といったものを指定できます。「Inbound」、「Outbound」、「ThirdParty」、「Callback」、「API」があり、「Inbound」は着信呼、「Outbound」は発信呼、「Callback」はコールバック呼、「API」は現時点では、Outbound Contact API(参考記事)によって発信された呼です。「ThirdParty」は転送コール(呼)です。(補足1) |
電話番号 | これは発信者がコールした電話番号、つまりはAmazon Connect側の着信番号です。リストを選択すると、コールセンターインスタンスで取得している電話番号一覧が表示されますので、そこから選択します。 |
キュー | コンタクトフローで指定するキューのことです。リストを選択すると、コールセンターインスタンスで設定しているキュー一覧が表示されますので、そこから選択します。 |
エージェントログイン | コール(呼)を対応したエージェントを指定することができます。リストを選択すると、コールセンターインスタンスで登録しているエージェント一覧が表示されますので、そこから選択します。 |
最小通話時間 (秒) | コール(呼)のうち、「◯秒以上通話しているもの」を検索する場合に指定します。 |
最大通話時間 (秒) | コール(呼)のうち、「◯秒以内通話しているもの」を検索する場合に指定します。最小通話時間と最大通話時間の条件を組み合わせることで、通話時間の長いコール(呼)を検索したりすることができます。 |
顧客の電話番号 | 架電先の電話番号を指定することができます。(補足2) |
連絡先ID | これはコール(呼)のIDのことです。各コール(呼)に割り当てされている「359048df-a433-4285-8cf2-8a5a092ca3dc」のような値を指定します。 |
補足1
補足というか余談になってしまいますが、「ThirdParty」はどのようなコール(呼)に指定すべきなのか最初分からず、Salesforceのようなサードパーティー製品とAmazon Connectを連携させ(参考記事)、Salesforceの画面上から電話発信をした場合かと思って試してみたところ、そのコール(呼)は「Outbound」として扱われました。
"Salesforceの画面上から"とは、これを指しております。
。
答えは、転送コール(呼)でした。発信者(=顧客)からコールセンターへ架電し、着信者(=エージェント)が応答し、それを別のエージェントへ転送した際に発生するコール(呼)のことです。
補足2
電話番号の指定方法は、下記の2パターンがあります。
E.164形式で指定する
「国コードで検索」にチェックをつけて、ハイフン無しで指定する
検索結果
以下のように検索結果が表示されます。「検索」ボタンの横にある「CSVのダウンロード」ボタンを押すと、この結果をCSVファイルでダウンロードすることができます。
検索結果の「記録」列にある「▶︎」のボタンを押すと、通話録音データを再生することができます。その他にダウンロード、削除もできます。
また、検索条件の下の部分にある「追加フィールド」を選択して適用すると、下記のように検索結果に列が追加されます。
コール(呼)を転送した場合、コンタクトIDはどうなるか?ユニバーサルなコンタクトIDは取得可能か?
これは取得可能です。検索条件の下にある「追加フィールド」の中から「イニシャル問い合わせ ID」、「前の問い合わせ ID」、「次の問い合わせ ID」を選択することで、検索結果に表示でき、確認できます。
コール(呼)の説明 | 連絡先ID | イニシャル問い合わせ ID | 前の問い合わせ ID | 次の問い合わせ ID |
---|---|---|---|---|
最初に受けたコール(呼) | 9b847855-6aec-4ddc-97de-2cd89528912d | (無し) | (無し) | f7d16638-480d-4ba4-b2c3-d4015776645c |
別のエージェントに転送して確立したコール(呼) | f7d16638-480d-4ba4-b2c3-d4015776645c | 9b847855-6aec-4ddc-97de-2cd89528912d | 9b847855-6aec-4ddc-97de-2cd89528912d | (無し) |
この場合、「イニシャル問い合わせ ID」の「9b847855-6aec-4ddc-97de-2cd89528912d」が、ユニバーサルなコンタクトIDになります。これによって、各コールがどのコールに紐付くものなのかを判別することができます。
ちなみに、最初に受けたエージェントから別のエージェントに転送する際に、顧客と最初に受けたエージェント間の通話は保留状態になり、最初に受けたエージェントと転送先のエージェント間に新たに通話が確立しますが、この通話はコンタクト情報として検索結果には表示されませんでした。
通話録音データについて
上記の本文中に「「エージェント AND 顧客」を選択すると、顧客(=発信者側)とエージェント(=着信者側)の音声がステレオ録音されるようになります」と記載いたしましたが、このように発信者側と着信者側の音声が左右に別れて録音されております。
左チャネルに発信者側、右チャネルに着信者側の音声が録音されます((FAQ)Q11. 通話録音音声は顧客とエージェントで完全に分離され保存されますか?)
ステレオ録音になっていることで、音声データの分析ソリューションなどと組み合わせて使うこともできそうです。